SST通信 Vol.2

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Posted by admin | Posted in 未分類 | Posted on 15-07-2014

応用行動分析とポーテージプログラム

斎藤富由起

療育をやっていると応用行動分析やABAという名前をよく聞きます。どういうときにほめて、どういうときに注意したり、無視(ではないのですが)をしたりという方法が強化や弱化という言葉とともに語られています。みなさんもどこかで聞いたことはないですか。「オペラント行動」とか「刺激→反応→強化子」などが出てきます。

療育の世界では常識となった応用行動分析ですが、とてもうまい保護者もいますし、あまり得意でない方もいます。言葉が難しく、私は「三項随伴性(さんこうずいはんせい)」なんて何と読むのかも分かりませんでした。「あれ、これが負の強化?いや罰??」と混乱したり、「消去を続けても、問題行動が減らない!。応用行動分析なんて嘘なんじゃないか」と悩んだこともありました。いつになったら望ましい行動がでるのかと不安になったり、アセスメントをしても、次は何をどのようにならないといけないのかわからなくて、「やっぱり難しいなぁ」と落ち込んだことはありませんか。

実はプロでも同様で作業療法士や臨床心理士でも、プロもいれば、教科書で勉強しただけで全然できない人もいます。誰もが知っているけれど、使える人は案外少ない応用行動分析について今回はお話します。

1.応用行動分析の歴史

いまでこそ誰もが知っている応用行動分析ですが、日本ではいろいろな理由で導入が遅れました。最初に取り入れた人は山口薫という方で旧青鳥中学校(現在の久我山青光学園)の創設にも関わりました。山口先生は現在も日本ポーテージ協会の会長を務めています。

応用行動分析は、知的障がい者の療育法として注目されたのですが、当初、日本では猛烈な批判にあいました。

一つは、まだ自閉症が心の病気と思われていた時代だったこと。もう一つは、障がいのある人の心を無視して、アメとムチで管理する方法と思われたからです。特にムチ(罰)をめぐってはいくつかの事件もあり、もっともな批判もありました(ですから、療育に古い方で応用行動分析が好きではない人もけっこういます)。

今では自閉症が心の病気という人はいません。また、罰のあり方には応用行動分析も反省するべきは反省して、大きく変化しました。現在、欧米では応用行動分析を無視した療育はほとんどありません。特に自閉症へのTEACCHの導入は応用行動分析を広める役割を果たしました(知的障がい者への応用行動分析が基本にあり、その応用行動分析をさら自閉症に応用したものがTEACCHです。TEACCHについてもいつかお話します)。

2.7月18日の講座についいて

保護者の皆さんとお話をして、一番賛否が分かれるのがこの応用行動分析で、指導を受けて導入されている方もいますし、抵抗がある方もいるでしょう。応用行動分析は魔法の杖ではありませんが、使い方の指導を受ければちゃんと効果がでるものです。その際、(はじめのうちは)指導を受けることがとても大切で、自己流でやると、子どもの強い抵抗にあうことも珍しくありません。

今回のSST講座(7月18日)でご紹介するポーテージプログラムは知的障がいとダウン症のある子どもの療育方法としてはきちんと効果がある方法ですが、そればかりでなく、日本で一番わかりやすい応用行動分析のシステムでもあります。今、お子さんはどこができて、どこができなくて、強化するには何をすればよいのかが明確です。

お子さんの身辺自立と発達について「今、何をすればよいのか、わからない」「次に何をどうすればよいのかわからない」「いまやっている方法をどう工夫していいかわからない」という保護者のみなさんがいらっしゃいましたら、ぜひ、ご参加ください。応用行動分析が決して心を忘れた手法ではないこと、そして子育て支援法として(魔法ではないけれど)具体的な方法であることをご理解いただけると思います。

お招きする日本ポーテージ協会理事の吉川先生はこの道の大ベテランです。応用行動分析にかぎらず、子育ての悩みについてもお聞きできると思います。どうぞ、ご参加ください(わたくしも参加します!!)

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